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【参考記事】 死んでいるのは誰か?

John Caruso – Who Are The Dead?

{ 2009 01 12 }

「死んでいるのは誰か?」
ジョン・カルーソ

By Carlos Latuff

By Carlos Latuff

『我々は、まだ息をしている死人なんだ。』ガザでこう私に語った人物は、PNGO(パレスチナNGOネットワーク)の理事、アムジャッド・シャワだった。この真実を彼の眼の中に見ることができたのは、彼がユダヤ人入植地ネツァリムの外側で銃撃され死んだ3人の10代の若者についての記事を読んでいた時の事だ。射殺後、遺体は戦車かブルドーザーに押し潰された(爆発物を体に巻いていた場合を想定した予防措置だった可能性もある)。そしてバラバラになった子供たちの写真がガザの人々の間に広まった。

だから恐怖は決してどこか遠くの話ではなかった。今もそうだ。だが恐怖はガザのパレスチナ人の唯一の関心事ではなかった。日常生活の重圧にもかかわらず、彼らほどあけっ広げで、友好的で、楽しく、笑い上戸な人達の中にいた経験が私にはない。アムジャッドの暗いイメージを描いたが、彼はお茶目なユーモアのセンスの持ち主で、イタズラ好きな笑顔でよく顔を輝かせていた。ガザと西岸地区には本当の活力があった。彼らが本当に重要なものに最大の価値を置いているからなのだろう。それは家族、昔からの友人、最近できた友人、そして彼らと共に過ごす時間だ。有名であるのも無理もないアラブ式もてなし、これがあったので私の経験は少々偏っていたようだが、私はパレスチナで数十人に会い、さらに多くの人々を目にする機会があった。私に対してなされたものかどうかにかかわらず、私が見たものはいつも同じだった。

(恐怖とユーモアはしばしば混じりあっているものだ。私がラファーにいた時、イスラエル人が、私たちのグループと自転車に乗った少年たちに発砲した。この件について後にアムジャッドに聞いてみたが、彼の答えはこうだ。『イスラエル人の事、わかっていないね…時々彼らは”こんにちは”と”さよなら”を言う代わりに撃つんだよ。』そして現在のような絶え間なく爆撃が続く状況下でも彼らは冗談を言う。『外を見て、F-16戦闘機が君に笑ってる。ミサイルが君にダンスをしてくれてる。ザッナーナ(無人機のパレスチナ名)が君に歌ってるよ。あいつらみんなに”よいお年を”って君に言うよう頼んだよ。』『他の世界中の人たちがお祝いをやっている時に、イスラエル空軍は我々が花火代を節約できるようにしてくれているみたいだね。』パレスチナ流のユーモアにトゲがないことはめったにないし、ユーモアが足りないこともめったにないのである。)

私が一番感動したのは、彼らの心の広さだった。私が話をした人々(人権活動家、医師、商店主、タクシー運転手、生き延びるため検問所の列でお茶を売る人々、そしてあらゆる人々)は、ほとんど皆、深い理解と思いやりの気持ちを示した。自分たちに多くの苦しみをもたしているイスラエル人とアメリカ人に対しても同じだった。彼らには正反対の気持ちを抱いていいあらゆる権利がある。何度か怒りの場面も見たが、圧倒的多数の真意は平和に暮らしたい、自分たちと隣人双方が共に平和でいたいというものだった。冷淡さの大部分は無知からくる。苦しむことがどういうことなのか本当にわかったのなら、人はむしろ理解を深めてゆき、他人にそれが降りかかることを決して望まなくなるのだ。私にはこれが痛いほどわかった。

こちら(訳注:サンフランシスコ)、このテレビやショッピングモールのはびこる世界に帰ってきた時、その落差には唖然とした。この国はとるに足らない諸々に取り憑かれている。ここでは多くの人に途方もない特権と終りのないチャンスがあるにもかかわらず、幸福への手段を買い求めながら、孤立感と空虚感を覚えている。

我々は人間の基本的な思いやりの心というものからあまりに分離してしまったため、政府が我々の存在そのものへの最新/最悪の脅威をやっつけるたびに、わがことのように力強く身震いするのだ。爆弾が降り注ぐ下にいる人々の命のことなど考えないのである。だから私は思わずにいられない。本当に死んでいるのは誰か?

-John Caruso (Source)

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【翻訳委員会:D】

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